むんじゅる笠とは麦わらと竹で作る日よけの笠。
放射状にならんだ麦わらはつややかでシルエットが美しい。そして、軽くて涼しい。
かつて沖縄では、強い日差しをよける野良笠として各地で愛用されていたが、今は実用的な役割よりも、祭りや舞踊のモチーフとしての笠で知られている。
舞台は、沖縄県本部町の西の海にある瀬底島。瀬底大橋が架かるまでは、シマチャビ(離島苦)の暮らしを余儀なくされた離島だった。
生活の足は船。生活物資の運搬や通勤・通学等を担い島人の暮らしを支えた。生活の水は雨。川や湧き水のない島では、水道が引かれるまでは、集落にため池、屋敷には甕やタンクを設置して雨水をためていた。水が不足すると本島のカー(井泉)の水を運んだ。
かつて、瀬底島の多くの人が、副業としてむんじゅる笠を作り、笠の材料が足りないときは、島外へ調達に出かけた。むんじゅる笠は瀬底島の特産品であった。
現在、瀬底島でたった一人となったむんじゅる笠の作り手が大城善雄さん。善雄さんは島の草分けの家「ウフジュク」の当主で、島唯一の男の神人(ウフシニヘー)である。
この作品は、善雄さんの野良笠と踊り笠(琉球舞踊「むんじゅる」)の製作工程と瀬底島の神事、むんじゅる笠と共に生きた島の暮らしを描いたドキュメンタリーである。
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