海燕社についてリンクサイトマップ


ホームプロフィール作品紹介コラムフォトアンケート上映日程購入案内
 この作品は、1968年に製作されたが、一度テレビ放送されただけで長い間眠っていたものである。元はフィルムであるが、数十年の歳月に原版は傷み果て、今では傷ついたこの映像だけしか残ってはいない。
当時、私は製作スタッフとともに、男は海へ女は畑へ、あるいは男が魚を獲り、女がそれを売るといったようなシンプルな暮しをさがし求めていた。複雑化した現代社会では、そのような基本形態が殆ど見られなくなっていたからである。そんな古拙な社会には失われた祈りがあり、愛があった。ある意味でこの作品は糸満に対する私たちの思いを描いたものであり、したがってナレーションなども現実にそぐわない表現があるかも知れない。私は、海を仲立ちとした男と女の生が、墓という死の家へ収斂されてゆく、そんな形を見ていたのである。ドキュメンタリーとしては独断と偏見が先行しているかもしれないが、その映像はまごうかたなく1968年の糸満の姿をあらわしている。
「糸満の女」というタイトルを見れば、元気いっぱいの若く美しい糸満女たちが登場すると思われるかも知れないが、残念ながらその期待に応えることができない。

                                                  監督 野村岳也



海燕社トップページへ

Copyright(C)2010.kaiensha.All Rights Received